かがやきインタビュー(テキスト)
☆◆こんにちは。
 ◆今からかがやきインタビューを始めます。
 ◆私はかがやき手話ニュース担当のわたなべたかこです。
 ◆よろしくお願いします。
 ◆手話ではこう表します。
◆今日は、というと今は冬ですね。
 ◆冬といえば何でしょう?
 ◆スキーですよね。
 ◆スキーインストラクターを務めていらっしゃる藤森千夏さんに来ていただきました。
 ◆今からインタビューを始めたいと思います。
 ◆まず、自己紹介と仕事内容について話していただきたいと思います。
 ◆お願いします。
 ☆初めまして。
 ☆私の名前は藤森千夏と申します。
 ☆簡単に自己紹介したいと思います。
 ☆東京デフスキークラブ所属のスキー準指導員、分かりやすくいうと全日本スキー連盟公認のインストラクターです。
 ☆インストラクターとして、毎年12月〜3月の土日や連休を使って、色々なスキー場へ行ってスクールの講師を務めたり、子供たちのためのスキー教室を開いたりしています。
 ☆普段…平日は会社員で一般事務をしております。
 ◆なるほどですね。
 ◆土日はスキーで、平日には一般事務の仕事をしているということですね。
 ☆そうです。
 ◆分かりました。
 ◆子供たちにスキーを教えるなんて楽しそうですね。
◆スキーインストラクターの仕事の目的意識はありますか?
 ☆はい。
 ☆あります。
 ☆私の経験談になりますが、小さい時に…本格的にスキーをする前に普通のスキースクールに入ったことがあったのですが、先生が聴者で手話が出来なかったのです。
 ☆コミュニケーションがスムーズに出来ず、先生の滑りを見て真似るだけでした。
 ☆言葉が全く理解できなかったのです。
 ☆そこで自分がもしスキーを教えるとしたら、ろう者の子供たち、ろう者の仲間たち、自分と同じスキーが好きだという人たちに、スキーを楽しめるように教えたいと思ったのです。
 ☆それで、スキーインストラクターとして活動したいと思うようになったのです。
 ◆やはり、真似るだけだとよく分からないですし、上達もなかなかしませんね。
 ◆でも手話によってこういう意味なんだとつかむことが出来ると、上達が早くなって良いということですね。
◆さて、次はスキーを始めたきっかけを話していただきます。
 ◆お願いします。
 ☆スキーを始めたきっかけですか。
 ☆小さい時からよく親に連れられてスキーに行っていました。
 ☆また、中学、高校、短大とほとんど毎年スキーに行くという環境で、恵まれていたと思います。
 ☆毎年冬が来ると必ずスキーに行くという感覚が自然に身についたという感じでした。
◆小さい時からもうずっとですか?
 ◆途切れることなく?
☆そうですね。ずっとですね。
 ◆なるほどですね。
 ◆それからスキーに夢中になったわけですね?
◆そこからインストラクターになろうと思ったきっかけって何ですか?
 ☆短大の時、卒業前にスキー教室があって、体育の選択科目の中にスキーがありました。
 ☆その時に自分と同じろう者のスキー指導員に出会ったのです。
 同じろう者だということでびっくりしたのですが、その時に手話を通して色々なこと…どうしたらスキーの腕が上がるかとか、滑り方などを細かく教えて頂いたのがきっかけです。
 ☆それがきっかけでその指導員の方と色々な話をするようになり、スキーのセンスをもっと伸ばしたらいいよというアドバイスをいただいたのです。
 ☆クラブに入り、たくさんいるろう者のスキー指導員に教えてもらって技術を磨いた方がいいと言われたのです。
 ☆それがきっかけだと思いますね。
 ◆もし、その指導員の方と出会わなかったらどうなっていたのでしょうね。
 ☆もう普通に、趣味で終わっていたと思いますね。
◆やっぱり、趣味でやるのとインストラクターとでは感覚が違うものなのですか。
 ☆少し違いますね。
 ◆インストラクターになって良かったと思いますか。
 ☆はい、良かったと思います。
 ◆では、次に行きましょう。
 ◆インストラクターの仕事も含めて今までスキーをやってきて、大変だったことはありますか。
 ☆大変なことですか。
 ☆たくさんありますが…。私は勉強が好きじゃなかったのですが、インストラクターの試験に向けて…専門的な知識が必要なんですね。
 ☆その試験の内容というのは、実技試験があって。
 ☆あっ、すみません。
 ☆実際にスキー場で滑りをテストされる実技試験の他にペーパーテストがあるのです。
 ☆勉強があまり好きではないので、テキストは自分で買わないといけないのですが、4、5冊あるテキストを開き、はちまきをするような感じで猛勉強をしたのです。
 ☆本番に近づくとあせってしまい、仕事から帰ってきた後、夜中の2、3時…日が昇るぐらいの時間まで勉強をしていたのです。
 ☆それを毎日繰り返していたのですが、それが一番苦しかったですね。
 ☆また、普段会社員をしているので、土日は山に行かなければならなくて、休む暇がなくいつも動いている必要があります。
 ☆私は自分の車でスキー場まで行くのですが帰りはいつも渋滞になってしまうので眠たくなってしまうのです。
 ☆でも帰らなければ次の朝仕事に行けない!と頑張って帰ったのが大変でしたね。
 ◆そうなんですか。
 ◆大変でも長く続けられたのは、やはりスキーが好きだからですか?
 ☆そうですね。基本的に、滑ることが大好きなんです。
 ☆苦しいことも忘れられるぐらいに。
 ☆広い真っ白な雪の世界の中で滑るんですが、空気もとても良くて。
 ☆山は空気がおいしいんです。
 ◆なるほどですね〜。
 ◆温泉もありますよね。
 ☆ありますよ〜。
 ☆その楽しみがありますし、スキーの仲間もたくさんいますし、楽しいから頑張ってこられたのだと思います。
 ◆いくら大変でもスキーの楽しさを知っているからこそ、頑張ってこられたのでしょうね。
 ◆良いことですね。
◆さあ、次にいきましょう。
 ◆スキーをやってきて嬉しかったことはありますか。
 ☆嬉しかったことですね。
 ☆やっぱり準指導員の試験に受かった時の喜びは大きかったですね。
 ☆それから、クラブに入って色々な大会に参加しました。
 ☆ライバルも多かったけれど自分の技術がどのぐらいあるのか知りたいという目的もあったので参加したのです。
 ☆自分の滑りが出来て、メダルを獲得したことも嬉しかったことのひとつですね。
 ☆でも、それよりも嬉しかったことは、インストラクターになって教える回数もまだ少ないんですけど、西日本のろう児童の団体がいくつかあるんですが、九州や大阪などに支部みたいなものがあるのです。
 ☆そこから依頼があって、白馬で子供たちにスキーを教えたのです。
 ☆子供たちとスキーを通して楽しく交流したり、トレインというものをやって楽しませたり。
 ☆中には、親として自分の子供にスキーの技術を磨かせたいという方もいらっしゃって、そういう子供たちに基本的なことをスクールで教えたりします。
 ☆まず、スキーをするにあたって危険なことがないように、正しい転び方、スキーのはき方や集団行動などについて基本的なことを教えるのですが、皆さんが楽しかったと言ってくれるのです。
 ☆子供たちや親ごさんたちがこのような行事が終わるたびに、「本当にありがとう!また来年もよろしく!」と言ってくれるのです。
 ☆子供たちも「先生、また遊ぼうね!」と声をかけてくれたり。
 ☆それが一番の喜びですね。
 ◆スキーを教えるだけでなく、共に生活もしますよね。
 ◆マナーや集団行動など、必要なことを教えるのですね。
 ◆なるほどですね。
 ◆スキーだけでなく、生活や人生に関わるものも教えているようで、良いですね。
 ◆すばらしいなと思います。
 ◆笑顔も沢山もあるのでしょうね。
 ☆そうなんです。その笑顔を見ると頑張って資格を取ってよかったと思えるのです。
 ☆裏では大変なことも沢山あるのですが、現場で子供たちに会うと自分自身も楽しめるのです。
 ☆大変なこともすべて忘れられ、自分の居場所はここだと思えるのです。
◆パワーがもらえるという感じですか。
 ☆そうですね。
 ◆分かりました。
◆さて、次です。
 ◆スキーを通して学んだことはありますか。
 ☆たくさんあるのですが、特にチームワークについて学びました。
 ☆基本的に、私はマイペースな性格なのですが・・・。
 ◆いいのではないですか。
 ☆クラブに入ってから長い間、先輩や指導員の方にアドバイスをいただいたり、
 叱られたりしたことがたくさんありました。
 ☆インストラクターになった以上、個人としてではなくクラブの一員として立場を考えて行動する…たとえば、この行動は周りにどう影響を与えるとか、マナーや言葉遣い、相手の立場を考えるなど、そういう社会勉強が出来ました。
 ☆クラブの中には色々な考え方の人がいて、それを考えた上で、スキーの仲間として人生は長いですからね、長く付き合えるように、周りの良いところを見習ったり、自分が出来ることはきちんと言ったり、バランスが大事なんですよね。
 ☆特に人間関係のバランスは大事なのです。
 ☆これは普通の生活でもいえることですよね。
 ☆そういうことはクラブから学びました。
 ◆今気づいたのですが、インストラクターは全員で何人いるのですか。
 ☆全国のろう指導員は36人います。
 ☆NPO全日本聴覚障害者スキー指導員会に登録されています。
 ◆36人登録されているのですか。
 ☆また別に、聴者で手話の出来る指導員もいます。
 ◆そうなんですか。ろう者は36人いるというのは、思ったより多いですね。
 ☆前は少なかったけど、だんだん増えてきたんですよ。
 ☆先輩の指導員の方たちのおかげですね。
 ◆クラブ内でその指導員の方たちと話し合う機会が多いと思うのですが、色々考え方が違うこともあると思います。
 ◆それでもお互いを高め、自分を磨くことも必要なんですね。
 ◆それを学んだということですね。
 ◆甘くないですよね。厳しいけれど、がんばっていらっしゃるんですね。
◆次にいきましょう。
 ◆将来の目標、夢はありますか。
 ☆夢というより、目標ですね。
 ☆これはいつも思っていることなんですが、先ほど話したように、子供たちにスキーを教えることで、毎年必ず企画を立てて、私と同じような色々な指導員、準指導員や仲間たちと一緒に聞こえない子供たちを教えて、特に一番目標にしているのがデフリンピックがあるんですよ。
 ☆世界のスキー大会なんです。
◆次は開催は4年後ですよね。
 ☆そうです。
 ☆その日本代表選手として、将来出場出来るように、今から子供のうちからスキーの技術を磨かせて、スキーの楽しさや面白さを伝え、スキーが大好きだという人を増やしたいですね。
 ☆大人になってもスキーが大好きだというような人たちですね。
 ☆子供たちに夢を与えられるように、毎年スキー教室で教えていきたいです。
 ☆それがもうずっと目標ですね。
 ☆私は経験がまだ浅いので、もっと経験を積み重ねていってこれからもっと自信が持てるようになり、頼られる指導員になりたいのです。
 ◆スキーの技術を教えるだけでなく、スキーの楽しさや夢を持ってもらうのが指導員の仕事だと考えているのですね。
◆これから何かイベントがありますか。
 ☆はい、あります。
 ☆デフわんぱくスキープログラムのご案内をさせていただきます。
 ☆細かくはまた後で、ということで。
 ☆ふたつあります。
 ☆ひとつめのイベントは、デフわんぱくポール体験です。
 ☆これは、全国から60人募集しています。
◆参加できるのは子供だけですか。
 ☆そうです、子供だけです。
 ☆もちろん、ろうの子供です。
 ☆場所は長野県の斑尾スキー場です。
 ☆このイベントでは、先ほどお話したデフリンピックがあることを教えたり、ポールを使って滑ることよって、競争心を高めたりします。
 ☆基本的にポールをやらせると、難しく考えず、ただ早く早くタイムを意識しながら早く滑ると、気づいたらスキーがうまくなっています。
◆そうなんですか。
 ☆本当ですよ。
 ☆ポールはいいですよ。
 ☆おすすめです。
 ☆そして、ふたつめです。
 ☆デフ親子スキー教室です。
 ☆これは、昨シーズン初めて開催して、良かったという声が多く、またやって欲しいということで2回目をやることになったのです。
 ☆親子の場合は、ろう者、聴者関係なく、特にろうの子供たちを募集しています。
 ☆親子は20組募集しています。
 ☆場所は群馬県にあるかたしな高原スキー場です。
 ☆さきほど話したポール体験とはまた違った内容で、色々なゲレンデに行きます。
 ☆このイベントではスキーの楽しさを感じてもらいたいですね。
 ☆このふたつのイベントにはぜひ参加していただきたいです。
 ◆他にもイベントはあるのですか。
 ☆子供たち向けのイベントはこの二つです。
 ☆その他のイベントは、NPO全日本聴覚障害者スキー指導委員会のホームページに詳しいことが載っていますので、そちらをご覧ください。
 ◆分かりました。
 ☆申込方法なども書いてありますので、ぜひご覧ください。
 ◆興味がある方は、ぜひホームページを見て下さいね。
◆今日は、色々お話していただきました。
 ◆本当に夢のあるお話でした。
 ◆ありがとうございました。
 ◆私も久しぶりにスキーがやりたくなりました。
 ☆おいでおいで〜。
◆では、最後です。
 ◆スクールの新しい手話が決まったのです。
 ◆こう表すのですが、今広めているところです。
 ◆ぜひ一緒にかがやきの手話をやっていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
 ☆はい、いいですよ。
 ◆このようにやるんですよ。
 ◆いいですか、始めますよ。
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 ◆☆ありがとうございました。
 
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