担当教室より:細川英雄 - 早稲田大学大学院日本語教育研究科:GSJAL日研
講義後,受講生のみなさんからいただいた感想,質問,および担当者からの回答です。
Sさんより
「研究計画の設計と方法」に関する講義を聞く前から研究計画書やレポート等を書く時に先生の理論に断片的ながらも従おうとしてきました。今回,「論文は自分のためでなく,人のために書くもの」だという言葉の意味について考えさせられました。研究者はどうしても研究を進めていく過程では自分の世界を持つようになり,いくら立派な研究成果でもそれが他人に伝わっていなければ,一般化されていなければ生きていく資格がないですね。人文科学のものは特にそれが重要だと思われる。
以上のことは決して万人受けを狙うと言う意味ではなく,自分の考えをまとめる段階の後,必ず自分の考えを広める段階が来るという意味です。そのために能力も度胸も問われることになります。それを身に付けないかぎり単に"勉強ができるけど…"というレッテルを貼られてしまい,勉強の成果が日の目をみることさえないかもしれません。
次に,先生が提示する論文の執筆技術と整合性及び一貫性を有する流れに従えば,大袈裟ですが,最近巷でよく聞く「政治マニフェスト」でも書けるというユニバーサルな理論だなと思いました。
その他に,「肉体が精神に裏切られるまで」研究を続けなさいという言葉が印象に残りました。現在,私自身は長いスパンで見ることが出来ませんが,止まってはいけない,止まったら必ず逆戻りしてしまい,元の場所に戻るために数倍の努力(心身とも)が必要になると思っています。だから,常にアンテナを張っており,自分の意見や考えを臆することなく人にぶつけて,そのインターアクションの中で成長していこうと思っています。
- 人のために書く
- 一貫性を忘れない
- 継続は力なり
以上のポイントを今後の活動の要にしたいです。
- 細川より
- 論文は人のために書く,と言った覚えはありません。論文は他者に提示するものではありますが,あくまでも自分のために書くものでしょう。自分の考えていることを明確に他者に示すことができるということが,書くという行為であると私は考えています。
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Lさんより
研究計画の方法論は,前から大まかに知っていますが,実際にしてみると,一つ一つの手順をきちんと踏んでいくことはかなり難しいと思います。
今回の授業で,初めの設計のための2つの視点の,「テーマを他者に提示する」ということは,私にとって新しい発見でした。やはり最初テーマを決めるときは,全部一人だけで決めつけてしまうことがほとんどです。
今まで,「他者に提示する」というと,先生に見せるくらいしかしないので,最初の段階から他人とインターアクションを行うことは新たな刺激になると思います。授業中,どのような他者に自分の研究を見せたらいいかという質問も出ました。それも私が聞きたかった質問です。同じ専門の人なら専門的なアドバイスが出るかもしれないし,全然専門が違う人でも面白いコメントをしてくれる可能性もある,ということは考えられます。しかし,私の考えでは,研究などを見せるとしたら,建設的な意見をもらうために,同じ専門の人に見せるしかないと思いました。そうすると,インターアクションをする他者が限られてしまう心配もあります。
結局,相手(他者)が自分と同じ専門にしても,そうじゃないにしても,大事なのは相手が自分の研究に関心を持っていることだと分かりました。自分の研究に関心を持ってくれれば,行われたインターアクションはきっと役に立つだろうと思うようになりました。
ただ一つ気になることは,自分が他人の意見や反論を処理することができるかどうかという問題です。他人とのインターアクションを活用すれば,自分の研究の基盤を堅く築いていくかもしれませんが,自分は他人の意見や反論に振舞わされる心配があります。簡単に他人に影響されないようにするとしたら,テーマの問題関心を意識化するという手順を繰り返すしかないだろうと思います。
一こまの授業で研究計画の方法論を紹介していただきまして,大変役に立ちましたが,実行する際に,手順通りにやっていけるかどうかまだ不安です。
でも一通りのモデルを提示してくださいましたので,非常に参考になりました。
また,授業中,たくさんの方々からの質問を聞くことによって,今後自分も同じような問題に遭遇するかもしれませんので,大変勉強になりました。
そこで,このような授業の開設は大学院生にとっては不可欠であろうと思います。
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Rさんより
授業の後,自分自身の問題を反省しました。主に二つの問題があります。
- 問題に対して敏感ではありません。本を読む時,関心する問題があっても,深く考えなく,捉えないままで終わります。これから,関心する問題があれば,問題関心を意識化することが分かりました。
- 資料,データの収集,運用方法はよく分かりません。「循環スパイラル」を聞くと,ショックしました。これはずっと捜しているものです。めちゃくちゃの頭ははっきりになりなります。良くない比喩ですが,前の私はネックレスを作りたいですが,どこから始めるかよく分かりません。今はよく分かるようになりました。まず,玉を集まり,自分好きなものを選びます。次に,適当の線で玉を刺し通します。少しずつ玉を集め,線で閉じると,素敵なネックレスができる。先生,知識より方法を教えていただき,どうも,ありがとうございます。
留学生で,自分の感想をよく伝えられなく,すみません。いい勉強になりました。どうも,ありがとうがざいます。また,余計な話ですが,私,ピンク色のプリントがとても好きです。暖かく感じていた。どうも,ありがとう。
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Cさんより
この授業はとても勉強になると思っています。
私の大学には卒業論文がないので,私は一回も書いたことがないのです。ですから,修論をどう書けばいいかと非常に悩んでいます。
この授業で研究計画の書き方などを分かりやすく説明してくださって,本当に助かりました。
ころからもよろしくお願いいたします。
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Mさんより
本日の講義では,研究計画の設計と方法ということで,研究とはどのような過程を踏んで進めていくのか,ということを初めて聴いた。具体的な説明を聞いていて,シンプルな作業を丹念に繰り返すことがいかに大切なのか,ということがよくわかった。しかし,同時にその「シンプルな作業」がなかなか「シンプル」にまとまらないところに,研究者の力量の差が顕れ,難しさがあるのだということを実感した。
ときに私は、コロンを使うのですか?
本格的な論文を書くにあたって,何度も仮説をたて,パイロット・スタディーを繰り返すことから,結論への見通しを立てる,という「研究の循環スパイラル」という経過についてはたいへんよく理解できた。しかし,その中で,心配になったことは,そのスパイラルにねじれが生じることがままあるだろう,ということだ。もちろん,基本的にインターアクションはそのねじれ防止対策として効果的だとは思うが,インターアクションの結果,自分の方向を見失いそうになることも考えられるだろう。インターアクションを最大限に有効なものとして取り込むためには,やはり自分自身の初期段階での研究動機を,きちんとした形で明文化しておくことが有効になるのだろう,ということがわかった。
今はまだ,研究の方法も進め方もよく飲み込めておらず,模索すらできていないような状態で,これから正味1年半で自分の成果を形にできるのか,大変不安に思っている。しかし,まずはゼミの上級生の発表や論文をしっかり読み討論に加わることから,着実に歩を進めたいと思う。同時に,今後のデータの収集はどうするのか常に念頭に置き,日々を有意義に積み重ねて行きたい。
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Kさんより
修論のテーマを決めるにあたって,頭で漠然といろいろなことを考えて,書き出してみたら大混乱し,考えを白紙に戻すということを何度も繰り返しました。
しかし今日の授業を通して,研究テーマは私の仮説であること,仮説にはそれなりの根拠が必要なのに,空想の中だけで仮説を立てようとしていたことに気づきました。ひとまずやるべきことが見つかったので,データを集め検討し,方向性を固めて行きたいと思います。ありがとうございました。
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Lさんより
日研に入ってから,一番悩んでいるのは研究計画の立て方です。入学した前に一応研究計画書を書いてみましたが,それはただ自分が興味を持っている,日本語教育に有意義だと思うテーマで,それに辿って進めるかどうか,どのように始めるかさっぱり分からなかったのです。先生の講義を拝聴して,大変いいヒントを得まして,研究計画の設計の手順や方法を頭の中に入れておき,研究計画についてどこから手を入れるか,どんなことを考えるべきかはっきりにさせていただきました。すごく漠然の状態からちょっとしたですけど,自信が立てられるようになりました。有難うございました。
テーマの選択ですが,それは非常に大切だと思います。自分なりのテーマは本当にやりがいのある課題かどうか,他者に認められるかどうか,自分の判断だけでは多数の意見をカバーできないので,そういう意味で,インターアクションはすごく役に立てる手段として活用しなければなりません。いい始めがあれば,後で順調にいけると思います。自分のテーマをきちんと把握して,他者からも意見をいただき,自分の意見と比較しながら,もう一段階の自分の立場を形成できます。
データの収集方法はいろいろありますが,自分のテーマによって違います。それは自分の仮説の根拠として説得力のあるデータの収集が必要なので,一番適切な方法を選ばなくてはいけません。それは難しいことで,自分の考えだけではなく,他人の知恵を頂ければと思います。又,先行研究の探索も非常に重要だと思います。自分の仮説の位置付けを考えられるし,筋のいい研究から,仮説の立て方や調査方法など,役に立てるヒントをたくさん得られます。他者と共有する理論を獲得するために何回も仮説を立てる必要があると考えました。
難しいことですが,今から,修論に向けて,その研究計画の設計の手順と方法に基づいて,少しずつ,step by step 頑張っていきたいと思います。
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Yさんより
この研究法の授業を通して,どのように研究計画を設計するのは少しつつ見えてきました。
そこで,ひとつ質問があります。
なぜこのテーマを選んだのか,つまり論文のオリジナリティーは大事だが,それは先行研究ですてにあったものを取りあげではいけないことですか?
- 細川より
- 先行研究にあったものを取り上げるということと,自分のオリジナリティを持つということとは別のことです。たとえば,源氏物語に関しては,無数の研究論文があります。その中に自分の研究しようとしているテーマと似たものもあるかもしれません。しかし,素材を観察・分析して明らかにしようとするのは自分なのですから,その視点をしっかり押さえれば,自分の立場がはっきりするはずです。その立場から,先行研究を検証すれば,似たような研究であってもまったく同じものだとはいえません。自分の立場を明確にし,データ・素材について丁寧に分析・解釈することがすなわちオリジナリティの発見につながるでしょう。
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KYさんより
先日の講義では,研究計画の設計・方法についてわかりやすくご講義をいただき,ありがとうございました。
先日の講義に関連して,考えたこと,今,考えていることについてお話させていただきます。
ちょうど,この日の4限の演習では,私の所属する研究室で6期生が論文の目次について各自考え発表する日でした。私は出願の時の計画書を元に目次を考え発表するつもりでいました。
が,3限で先生の講義を聞いているうちに自分の作成した目次はかなり違うと思いはじめました。案の定,4限の演習時でのほかの研究生からのコメントも同様でした。しかしながら,それでも自分で「ちがう」と思ったことや,他の研究生からのコメントもインターアクションとはなりませんでした。
更に迷ってしまい,焦りを感じました。
先生方,先輩方は「最初は皆そうだ」とく口々におっしゃってくださいますが,当然のことながら,自分自身が真剣に取り組まなければならない課題として常に考えています。
先日の先生の講義を聞いて設計の順序はもちろんのこと,それ以上に「自分の問題として捉える」という一言が私にとってとても重要なキーワードになりました。日本語教師としての体験(失敗や成功)の中から疑問に思ったことを今振り返っているところです。そして,思いつくままにメモに残しています。記述化することで,漠然としていることの輪郭がはっきりしてきました。
これから先行研究に当たっていこうと思っています。やり方全て把握できたと言うことではもちろんありません。でも少なくとも自分として何からやっていけば,テーマが見えてくるのかは掴めたような気がします。実際にはこれからすぐにやっていくつもりでいます。
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"モータ開発とは何か"
Mさんより
先生がお書きになっている『月刊日本語』の「大学院にいこう」は初回から読ませていただいており,願書提出の際も随分参考にさせていただきました。そして今実際に先生の授業を受けることができ大変光栄に思っております。
大学院の修士論文ということで,実際どんなふうに進めればよいのかよくわからなかったのですが,方法論をあのように提示していただいたことで,自分なりの道がみえてきたような気がいたします。また,研究のむずかしさも痛感させられました。"自分独自の資料を作り出し,他者をどう納得させるか"に向け研究を続けて行きたいと思います。
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Hさんより
今回の講義の中で最も印象に残っているのは,「テーマを一つに絞る」ということについての解説であった。私の場合,学部時代の卒業論文執筆時もそうであったが,参考文献にあたればあたるほどもともとの興味が何であったかを忘れてしまいがちである。もちろん,先行研究にあたることで新たな「問題関心」が生まれてくる,そのこと自体は問題ではないだろうし,次の研究課題として自分の中にストックしておくことも大事なことだろうが,やはり「問題意識」が拡散してしまうことのないよう,「問題関心」そのものを常に「意識」し,修士論文というゴールに向かっていく必要があるのだろうと感じた。
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Nさんより
木曜の講義で,研究計画書をどのように書けばよいのか,ということがだんだんわかってきた気がします。「入試の前に書いたのに,なぜまたそれを書くための授業があるのだろう。」と思っていましたが,自分がやろうとしていることが,どういう意味を持っているを自覚するのですね。あとは自分がどういうテーマで書けば良いかということをはっきりさせなくては・・・と考えました。
私の研究したいことは,録音したりビデオにとったりしてデータを集めることになります。その際,もし了承を得ることができないような状況の場合は,「匿名にして本人が特定されないようにすれば良い」と授業を聞いて理解したのですが,それで良いですか?
研究計画書は・・・
- 先行研究または規模が小さいデータ収集
- 仮説を立てる
- 先行研究などを用いて検証
- 結論
という流れをひとまとまりにして,これを繰り返し行っていくのですね。
これを繰り返すことは,とても大変な作業になると思いますが,先生の「インターアクションすればするほど良くなる」という言葉を支えに頑張ります。興味を持っている人なら,特に専門知識を持っている人ではなくてもいいんですね。このことは意外だと思ったのですが,これからの過程の中で,いろいろな人からアドバイスをもらうようにします。
最後に,「自分の問題として捉えること」と先生はおっしゃっていましたが,これはわかっているつもりでも,常に自覚していなくてはならないと感じました。
- 細川より
- プライバシーの問題は,とても重要です。論文は,公開を原則としますから,データを取るときは,その旨をよく説明し,その上で,基本的には,両者の了解の下で公開されるべきことでしょう。それがかなわないときで,どうしても資料として必要な場合は,匿名等の方法によって,本人が特定できないようにすべきだ,ということです。要するに,本人のプライバシーを守るということが重要なのです。
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Mさんより
16日の授業は,研究とはどんなものか,その全体像がつかめたという意味で私にとって非常に有意義であったと思います。特にインターアクションの活用が研究計画を立てる上でいかに重要であるかを知ったことは,大きな収穫でした。
私自身ではある程度問題意識ははっきりしているつもりでしたが,もう一度書いてみて確認するところから始めようと思います。
質問は特にありません。意義ある授業をありがとうございました。
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Oさんより
「研究計画の設計と方法」というテーマ設定はたいへんよかったと思います。自分の研究領域の理論と実践の授業に追われ,なかなか自分の研究テーマに向き合う時間が取れない日々の中で,この授業は現在の自分の研究計画を見直し,また確認するいい時間になったと思います。漠然とした問題関心を意識化することから始まり,それをどのように昇華させていくか,基本的な考え方がわかりました。中でも自分の研究テーマに関して他者とのインターアクションが重要であることがわかり,今の自分にはそれが欠けている事に気が付きました。
ただ内容が抽象的なものに偏った感じがありました。例えばある院生の問題関心から研究に発展するまでを例にとって,それと照らし合わせながら説明いただけたら,もう少しよかったかもしれません。
- 細川より
- 講義の初めにも言ったように,日本語教育の世界はあまりにも広く,むしろ対立的なものが共存しているとさえいえると考えています。したがって,具体的な例を出しにくいというのが実情でしょう。次回は,博士課程の人の研究経験の話がありますから,そこで具体的な質問をしてみてください。
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Tさんより
先生の授業を拝聴してから,研究計画書と修論との書き方の流れがわかりました。ありがとうございます。
けれども自分のテーマを絞るのにまだ長い時間が必要だと思います。特に先行研究をたくさん読まなければならないのです。私の今考えているテーマは否定表現の日中対照です。日本語の否定表現を研究なさっている先生が多くいらっしゃると聞きましたが,でも自分の調べ方がよくないかもしれませんが,なかなか見つからないのです。細川先生は「否定表現関係文献」をおまとめになったことがあると聞きました。もしよろしければ教えていただけないでしょうか。それに中国語の否定表現の研究ももっと少ないと感じています。先生はもしこの方面の情報がご存知でしたら,ぜひよろしくお願いいたします。お忙しいところを申し訳ございません。
フルタイムの教育の位置のリストは何ですか
- 細川より
- 否定表現の関係のものは,次にまとめましたので,ご覧ください(大昔のものなので役に立つかどうかわかりませんが)。
- 否定表現関係文献分野別目録・現代語 単 平成2年12月 日本語学9巻12号 日本語の否定表現に関する文献を収集し,これを著者別に分類,一覧の形に整理して,表示したもの。現代語の関するものを収録。(p31-p41)
- 否定表現関係文献分野別目録・古典語編(上) 単 平成3年1月 日本語学10巻1号 日本語の否定表現に関する文献を収集し,これを著者別に分類,一覧の形に整理して,表示したもの。古典語の関するものの前半を収録。(p21-p28)
- 否定表現関係文献分野別目録・古典語編(下) 単 平成3年2月 日本語学10巻2号 日本語の否定表現に関する文献を収集し,これを著者別に分類,一覧の形に整理して,表示したもの。古典語の関するものの後半を収録。(p41-p48)
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Iさんより
他者とのインターアクションの繰り返しの大切さや,問題に対する関心から意識化への移行など,今後の計画を立てる上での参考になりました。今後多くの方とのインターアクションによって,自分の研究を磨きたいと思いました。
仮説が成り立たなかった場合の研究結果は説得力に欠けるというお話でしたが,(理解が誤っていたらご指摘ください。) 日本語教育の分野において,そのような仮説に反する結果によって起こった大発見はないのでしょうか。「○○と思われていたが,実はそうではなかった」ことを証明するのは,ひとつの研究結果として価値があるのではないでしょうか。
- 細川より
- 仮説というのは,自分で立てるものです。「と思われていたが」という場合の「思う」主体は誰ですか。みなが思っている,という発想それ自体をまず疑うところから研究を始めてみては?
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Yさんより
今回のテーマである「研究計画の設計と方法」は,今後2年間かけて,修論へと漠然としたテーマを収束させていかなければならない一院生としては,大変興味深い内容でした。深遠たる日本語教育の領域から,自分のテーマを見つける手順。問題意識をつねに研ぎ澄まし,自己に問いかけていかなければいけない作業だと言うことを痛感しました。
当面の課題としては,テーマを絞るために,自分の考えを記述化し,具象的に捉えていくことから,早速始めなければならないと思っております。
ただ,データの収集などの面においては,どのような言語コーパスが信頼に足るものかなど,今後問題が山積していくのではないかと思われます。また,私自身の準備不足から,先生の授業中に質問を思いつくことができませんでした。もし可能なら,次期には,前週に先生の講義内容を把握することができるといいと思いました。もっと具体的にイメージし,質問事項もまとめておくことができ,さらにテーマの内容を自分のものにできるのではないかと思った次第です。
- 細川より
- 健闘を期待します。
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Hさんより
研究というのは,
- 「書く」(=自分の考えを表出する)→「読む」(=自分の考えの根拠を探す)
- 「聞く」「話す」(=自分の考えが他者にわかるかどうか確認する)
- 「また書く」(=自分の考えを他者と共有できるようにつくり直す)
の繰り返しだということがよくわかりました。
そしてそれは,(当たり前ですが)まず書かなければ,「読む」も「聞く」「話す」もないということでもあると思います。反対に言うと,とにかく書けば,何を読み,何を聞き,話すのかは,おのずとわかってくる,ということではないでしょうか。
私は正直言って,今まで「書く」をあまりしたことがありませんでした。ですから,拙くてもいいから(というか拙いに決まっている)とにかく自分の考えを「書く」ことを早速始ようと思いました。
また,せっかく大学院に来たわけですから,この「書く」→「読む」「聞く」「話す」→「また書く」が続けられる技術を身に付けようと思いました。
ここでこの技術を身に付けておけば,今後日本語教師として生き残っていくために,必ず役に立つと思います。
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Sさんより
私はブラジルの年少者対象の日本語教材について研究がしたくて大学院に入りました。この度の「研究計画の設計と方法」の講義を受けて,至急しなければいけないのは,テーマを一つに絞ることだと思いました。「年少者対象の日本語教材」のどこに焦点をあて,しっかりとテーマを決めない限り研究を進めることは不可能であるということが分かりました。ブラジルにおける年少者対象の日本語教育の背景や現状,さらにこの問題に関する自分の立場から考え直してテーマをまとめようと思っています。
インターアクションの大切さは,実際演習に参加して感じさせられました。自分の意見はただ単に個人的な意見であって,他人からは全く違った視点で捉えられていたり,自分では気付かなかった事を指摘されたりするので,自分の意見や悩んでいることは常に発言することを心掛けています。
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Rさんより
この前,木曜日の授業で,いろいろ教えていただいてありがとうございました,すごく役に立つと思っています。
大学院入ったばかりなんで,いろいろ研究方法について,やり方とか考えていたんですけど,先生の話聞いてまた新しい方法が出てきた。
私の研究テーマは日中あいさつ言葉の対照なんですけど,今まで読んできた先行研究のなかで,今との状況が違うところがいくつかあります。挨拶ことばは確かに,時代によって変わっていくものですから,何を中心に研究したいか,どういうやり方で研究するか,またいろいろ考えています,ご教授いただいてありがとうございます。
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Sさんより
先生がいつもおっしゃってることを,改めて整理してがつんと伺った,といった感じで「書かなくては」と改めて自分の中で緊張感が沸いてきました。
「デフレ・スパイラル」状態にならないように,何か思ったこと,感じたこと,ひらめいたことはがんばって書いて,「動機→証拠→結論」の上昇循環を,できるだけ繰り返すように,「自分のために」がんばろうと思いました。
HKS(注:細川研究支援)はインターアクションを行う環境に恵まれているなあ,と改めて思った次第です。
常日頃先生がおっしゃっていることで,かなり耳だこ発生状態ですが,言われていることはわかったと思ってもなかなかできないとはこのことだという感じです。
特に難しかったのは,自分のあまたある問題意識を繋げるもしくは絞ることだと思いました。でもいろんな人に助けられ,意見をもらい質問をしてもらい,だんだんいろんな問題意識の変遷を経て,やはり最初の入学のときに書いたものにかなり近いテーマになりそうです。でもその理由や他の問題意識との関連が以前より明確になったと思います。(願望かも。。)また今度はきちんとデータをだして,証拠として妥当かという点や,論理の飛躍などがないかなどについても検討してもらえるように,書いていかなければと思います。
本当にインターアクションの重要性と,頭でわかっただけではどうしようもないということを痛感した1年でした。(1年間もこの方法を繰り返してもらってもいまだできないのですが。。難)今は自分がまずある程度納得できるようになるまでがんばるしかない。。としかいえません。
ありがとうございました。
- 細川より
- タコになった耳はサラダにして食べよう。食べて元気になって,また考えて,さらに書き続けよう。
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Lさんより
昨日(16日)研究計画の設計と方法を受講させていただき,大変勉強になりました。
- 研究に関する全体のプロセスを見直すことになりました。テーマの設定から循環スパイラルを生かすべきだということは,本当に勉強になりました。自分がこれから進むべき道も見えてきたような気がします。(^0^)
- テーマをひとつに絞ることも本当に勉強になりました。今までは自分がやりたいことをやればいいと思ってきましたが,実行可能性などを考えると,やはり絞らないといけないことがわかってきたような気がします。
以上は感想でございます。ありがとうございます。これからももしわからないことがございましたら,またお聞きいたしてもよろしいでしょうか?よろしくお願いいたします。
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Aさんより
- 動機を思いついたとき書き留めておくこと
- テーマを絞ること
- インターアクションを活用していくこと
ということを聞いて,まさにそうして行こうと思いました。自分のテーマは大きすぎて,全くまだ絞り込めていないし,そのテーマに迫る方法も本当に実現可能か分からない状態です。また,日本語を教えたきた過程で生じた問題をテーマにしたつもりですが,もう1度「なぜそれなのか」(1度と言わず何度でもですが・・・)を考えてみようと思いました。今日の話を聞いて霧が晴れた様な感じです。
それから,なかなか自分一人の頭では考えをまとめることができないと思いますし,自分の研究室は6期生が1人しかいないので,どうぞみなさんインターアクションにご協力くださいね。
- 細川より
- 研究室という,せせこましい枠を超えて,インターアクションをしてください。
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Kさんより
テーマの把握の為,1. 何故自分は日本語教師になったのかを自らに問い直すこと 2. 自分が何故そのテーマを選んだか動機をしっかり書いて,他者からのコメントを沢山を受けること をまず実行したい。「考えたら書く。書いたら人に見せる。書かないものは人にあらず」と。
先々週のガイダンスで私が現時点でのテーマは「ビジネス日本語学習者に対する日本事情教育」ですと答えたのに対し,某教授は「ビジネス日本語なんてものが一体有るんですか。あるとしても語彙の問題だけでしょう。中国語話者に対する日本語教育等と同じように,ビジネス日本語学習者に対する日本語教育も,全て,基礎理論の応用でしょう」と言われいささかショックを受けた。オリジナリティと言う点から考えると,先行研究をビジネス日本語学習者に応用するとこうなるといっただけではもちろんダメで,言語,文化,教育等について自分にしかかけない視点から仮説を掲げ,第三者を説得出来る論理とデータを準備するとなると,気が遠くなるような努力が必要だ。でももう着手しなければならない。
- 細川より
- なぜビジネスか,なぜ日本語教育か,は,当然背負わなければならない問いでしょうね。健闘を期待します。
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Bさんより
テーマについて早く考えなければならないというプレッシャーから,実際の自分の問題関心をつきつめて考えずに調査の実施可能性の面からテーマを探し出そうと無意識にしていたのではないかと反省しました。自分だけで悩まずに,テーマをインターアクションの中で推敲し,自分の選んだテーマに対するしっかりとした問題意識をもって研究ができればいいと考えています。また,自分の興味を見極めるためにも,先行研究を早い段階から始めてる必要性があると感じました。
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Cさんより
本日の講義,ありがとうございました。
講義のあとの質問で『データの質と量』について大変貴重なお答えをいただきました。
そのあと,もう一問,質問させていただきたかったのですが勇気がなくて伺えませんでした。その質問をここに書かせていただきます。
先生,修論に限らず論文にはオリジナリティーが大変重要であるということは本日の講義でよくわかりました。そして,そのほかに,あるとすると,審査の基準で重要なFACTORとはいったい何でしょうか。研究テーマ,研究内容,研究方法,結論などそれぞれ,優劣があるのでしょうか。
- 細川より
- 研究の内容,方法,結論等でどこに審査のポイントがあるかといえば,それはすべてです。これらはすべてそろってはじめて論文として機能するわけですから,どれが一番ということはありません。
- テーマにあった内容と方法そして結論を期待します。
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Sさんより
今日は先行研究の文献の読み方やデータのとりかたなど有意義で,且つ実践的な授業でよかったです。ありがとうございました。
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Tさんより
「研究計画の設計と方法」というテーマはまさに今の私にぴったりのテーマでした。入学前に書いた研究計画書は入試の面接で「修士で扱えるテーマを超えている」と言われてしまい,それをどのように絞っていくのかがよくわからなかったからです。
今回の授業では,研究計画の方法だけに留まらず,実際の研究の方法,そして将来の自分のあり方まで考えさせられました。何から取り組んでいけばいいのかわからなかったのが,今できることと,やるべきことを意識させられました。とりあえず,恐れず一歩踏み出してみようと思います。
「修士論文が終ってから研究が始まる」という先生の言葉を肝に銘じてがんばります。
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