2012年4月4日水曜日

金沢Qスポット:血液型心理学勉強会


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ABO式血液型心理学とは

Q

ABO式血液型(以下、血液型と略する)心理学とはどのようなものでしょうか?

A

人の血液型が心理に与える影響を研究します。心理は性格形成とつながるので、結果として血液型が性格に与える影響の研究につながります。ただしノンフィクション作家の能見正比古さんが提唱した血液型人間学とは全く別な考え方で、新たな発想のもとで、ゼロから血液型と心理および性格との関係を明らかにしようというものです。

Q

能見さんの著書なら読んだことがあります。確か「新・血液型人間学」でした。A型は神経質、B型はわがまま勝手でマイペース、といった説明が印象に残っています。

A

能見さんご自身は「決めつけているわけではない」と著書の中で釈明されていますが、1970年代当時は、能見さんが放送作家としてラジオやテレビと深いつながりがあったため、番組のネタとして面白おかしく取り上げられ、本もベストセラーとなって、ちょっとしたブームとなりました。1981年に能見さんが亡くなられたあとも、類書が書店の一角で一定のスペースを占め、ひところではないにしても一定の人気が続いています。

血液型性格分類への批判

Q

能見さんの著作を含めて、血液型性格分類疑似科学だという批判があるようですが。

A

疑似科学というのは、一見科学のような体裁を装いながら、十分な検証がなされていない論説を指します。能見さんの著作が豊富な調査資料に裏付けされているところは認められるものの、単に調査結果の解説に過ぎないと見ることもできます。調査のために用いられたアンケートなどのデータがどれだけ膨大なものであっても、それを集計した印象を列挙するだけでは、科学的な研究とは言えないのです。

Q

能見さんの研究には、どういうところが欠けているのでしょうか?

A

つまるところ「科学とは何か?」という問題になりますが、普通には再現性あるいは可逆性の保証と言えます。例えばノーベル賞並みの研究は世界中に広く紹介され、多くの研究者が同じ手順で再現できることを確認しているのです。ただし科学には「現実に存在する事象は否定しない」という大原則もあり、未解明な事象については、観察・観測を十分重ねた上で、得られた結果について、しかるべき仮説を立て、収集したどのデータに対しても、その仮説が適用できることを証明する手続きがとられます。しかし能見さんの研究にはその仮説に相当するものが見当たらず、誰もが参加できる公平な検証への妨げとなっています。強いて言えばA型がO型をおもりし、O型がB型をおもりするという「おもり関係」説がありますが、調査データ全体を説明できる内容ではありません。

Q

仮説と、その検証についてもう少し説明してください。


第81条、ECの効果は何ですか
A

ガリレオ・ガリレイの例を紹介するなら、彼は望遠鏡で木星を観測していて、そのすぐ近くの、4個の小さい星(衛星)の動きに注目し、それが木星の周囲を、ほぼ円軌道で回っているのではないかとの仮説を立て、翌日以降の位置を予測したのです。彼の立てた仮説の正しさは、その後の観測によって確認され、それがのちに地動説を生む原点となりました。しかし「木星の特質は、小さい4個の星が近づいたり離れたりするところにある」と言って終わりであれば、それは単に観測結果の解説であって、科学としては不十分です。能見さんの研究にもこのようなところがあります。

ちなみにアメリカの公式な学会では、仮説とそれを立証する方法を詳細に記述しないと、正式な論文とは認めてもらえず、日本国内の学会も徐々にその方向に向かいつつあります。この場合、反論についても立証責任が生じますが、論文の提出側により重い立証責任があるのは当然です。

性格とは何か

Q

能見さんの場合、ABO式血液型というはっきりしたものと、とらえどころのない、あいまいな性格というものを関連付けようとしたところに無理があるのでしょうか。

A

能見さんは「性格」でなく「気質」であり、「気質は性格の材料」と説明しているのですが、読み手からは「気質=性格」としか思えません。いずれにしてもプライバシーに関係する事象を、客観的にとらえることは大変困難なことです。アンケートをとっても、本人評価ではよそ行きの結果となりやすく、第三者評価でも人によって結果が異なるという問題があります。結局たとえば「O型の気質(性格)には、およそこのような傾向がある」程度のまとめ方しかできないので、読む方もそのつもりで読まなければならないでしょう。そのため「傾向というレベルの話で役に立つのか」という批判も生じます。

Q

新たな発想という血液型心理学では、性格をどのようにとらえるのでしょうか?

A

とらえどころのない事象をとらえやすくするには、数式化するという方法がありますが、血液型心理学では大前提として「知性×心理=性格」と考えます。コンピュータシステムでなら、さしずめ知性はデータベースであり、心理はトリガー(引き金)です。そして状況に応じてトリガーがデータベースに働きかけ、性格という結果を引き出すと考えるのです。

知性(論理・技術・言語)とはおおよそ後天的なものであり、血液型と関連付けるには無理があります。一方心理(感情・感覚・欲求)とはおおよそ先天的なものですから、ここに血液型が関係するかもしれないと考えることに無理はないでしょう。このように性格を形成する要素を整理することで、男女別はもちろん幼児から認知症の老人まで、幅広い年齢層において見られる性格の違いについて説明できるようになります。

このように二つの要素で問題を解く方法を、数学では2項演算と呼びます。そうでなく「血液型=性格」のように、単一の要素で強引に説明しようとすると、たちまち「性格は4種に分けられない、科学的でない」と批判されることになります。

Q

知性と心理という二つの要素は、それぞれどのように性格に影響を与えるのでしょうか?


標準的なソリューションは何ですか
A

知性は基本的に年齢とともに発達・向上します。言語をベースとして論理と技術、それも学校で習うような知識だけでなく、家庭環境を含めた人生経験も、知性の発達に大きな影響を与えると考えられます。一方心理には喜怒哀楽の感情と、いわゆる五感などの感覚、さらに食欲・支配欲など様々な欲求があり、これらには男女差・個人差があります。この方程式によって、知性のカプセルを大きくすれば、性格の改善が可能となることが理解できるでしょう。普通に年齢を重ね、人生経験が深まれば、性格が円満になることは、よく知られています。また認知症で知性の一部がダメージを受ければ、性格もいびつなものになってしまうことも旧知の事実です。

Q

知性の3要素と心理の3要素について、もう少し説明してください。

Q

知性の3要素では、言語耳と口が受け持ち、論理が、そして技術手足が受け持つと考えることができます。また心理の3要素では、感覚インプットであり、感情アウトプット、そして欲求潜在意識と見ることができます。

Q

血液型心理学による性格のとらえ方は、既存の心理学と矛盾しませんか?

A

「知性×心理=性格」の方程式から、特に心理の部分を重視すれば、仏教学者の鈴木大拙とも親交があったというカール・ユングの類型論に近くなりますが、先天的な要素と後天的な要素を分離するというアイデアは見当たりません。またユングと言えば外向的内向的という、大まかな類型を示したことで有名ですが、それは性格を類型化することでなく、事象に対する態度が時として外向きとなり、また内向きとなることを説明したもので、血液型を単純に適用するのは誤りです。

さて数学的に知性と心理という二つの要素の組み合わせの結果は無数に存在するので、類型化そのものに批判的な「十人十色」あるいは「性格は人それぞれ」という考え方も満足させてくれます。

血液型と心理との関係

Q

血液型と心理(感情・感覚・欲求)との関係について、具体的に説明してください。

A

心理機能の中でもとりわけ感覚の領域に含まれますが、人が他者と接するときには、一定の心理的な距離感が生じます。概ね肉親と接するときは近く、他人と接するときには遠いものですが、これが血液型によって微妙に異なるのです。すなわち基本的に「O型は近く、B型は遠い」という傾向が強く見られ、そのため、年齢や学歴など個人の知性の成熟度によっても、その度合いは異なりますが「O型は人なつっこい、B型は素っ気ない」というような性格評価につながるのです。

Q

おもしろいですね。ではA型とAB型はどうなりますか?

A

A型は中間と考えます。AB型についてはAB双方の糖鎖を備えているので、B型プラスアルファと考えて差し支えないでしょう。


どのようにマスメディアは批判的な分析を利用しますか?

このように血液型心理学では、個人差の大きい知性の部分を切り離すため、他者との心理的な距離感を測るだけで、本人の性格診断や他者との相性診断を、シンプルに行うことが可能となるのです。また科学的な検証も、他者との心理的な距離感を測るだけで済むので、他のどの方法よりも簡単にできるという大きなメリットがあります。

Q

なぜ「他者との心理的な距離感」に注目したのでしょうか?

A

私(美多)は20年間、大学や専門学校でコンピュータ講師を続けてきましたが、そこで指導してきた経験の範囲内で、学生たちの血液型と性格との、相関度(つながりの度合)が強く感じられたのは、この「他者との心理的な距離感」だけです。だからそこに注目したのです。

Q

「血液型と心理的な距離感とには相関がある」という仮説を検証するには、どのような方法がありますか?

A

人の性格行動から血液型の影響を明らかにするには、知性に属する要素を除外することが必要で、そのためには知性が未発達な幼児を観察することが一番適切と考えられます。たとえば保育園で、各血液型の保育士が幼児をそれぞれ客観的に評価するような方法が理想的です。そうでなく大人が互いに評価しあうという方法では、個人感情が影響して「心理的な距離感」を公平に評価できないおそれがあります。また性格調査から知性に属する要素を除外しなければ、IQ値の高い大学生の集団で血液型と性格との相関を調べても、有意差がはっきり出ないでしょう。

血液型と相性

Q

それでは「わがまま勝手で、マイペース」と言われるB型どうしの相性はどうなるのですか?

A

相性については仮説の成立を前提とした推論となります。わがままどうしなら喧嘩になりそうに思いますが、実は最初からお互いに心理的な距離感が遠めなので、全く苦にならないのです。またB型どうしは決して相手をわがままとは感じないでしょう。このことから、性格とか相性とかは絶対的なものでなく、相対的なものであることがよくわかります。

Q

逆のパターンである「ベタベタした関係」になりやすい、O型どうしの場合はどうなりますか?

A

O型どうしの場合、強く引き合う磁石が反発しやすいように、仲良くなったり喧嘩したりと、賑やかな関係となるでしょう。悪くすると相手に与える精神的なダメージも大きくなるので、その点は注意が必要となります。

Q

O型とB型の組み合わせは、どうなりますか?

A

心理的な距離感が大きく異なるので、O型はB型の態度にイライラすることが多いでしょう。逆にB型はO型がなぜイライラするか理解できません。この組み合わせでうまくいくには、O型がB型に対して少し距離を置き、その上でB型からO型へのコミニュケーションを密にする工夫が必要です。

血液型とチームワーク

Q

職場など、ビジネスの場面では、どのような組み合わせが理想的ですか?


A

一般的には几帳面タイプと言われるA型をそろえれば良さそうに思えますが、他の血液型もバランスよくそろえた方が、強固なチームワークを築くことができます。仮にO型とA型が対立したとしても、B型が近くにいれば破局を迎えることにはならないでしょう。要はお互いに心理的な距離感の違いと、それがもたらすプラス効果とマイナス効果を理解しあうことが大切なのです。

Q

会社の同僚に、つい「あなたの血液型は何ですか?」と質問しそうになります。

A

それはマナーとしては、決して誉められたことではありません。聞けば自然と先入観が働き、それが決めつけにつながり、そのような態度は相手に対して失礼というものです。実際、血液型を質問されて不愉快に思う人は少なからずいます。相手の血液型がわからなくても、心理的な距離感はなんとなくわかりますから、その感覚に沿って適切に対応すればよいのです。

Q

心理的な距離感だけで、相手の血液型を言い当てることはできますか?

A

心理的な距離感というのはデリケートなもので、男女差も大きく影響します。また一般的に知性の高い人は感情的な表現をコントロールできるので、血液型を正確に言い当てることは、意外と難しいものです。強いて言えば、O型は比較的わかりやすいかもしれませんが、「O型は明るい、A型はおとなしい」という先入観をもっていると、おとなしいO型をA型と見誤ったり、明るいA型をO型と見誤ることは多くあります。

血液型人間学との関係

Q

最後に能見さんの研究について、あらためて評価してください。

A

能見さんの研究は、着眼点はいいのですが、ノンフィクション作家らしくサービス精神が旺盛で、あれもこれもと欲張り過ぎます。また知性に依存する要素を十分除外していません。弱点は数学的な発想に欠けるところで、その結果、研究全体が散漫となり「科学的でない、学問の体をなしていない」という批判を受けるのです。能見さんご自身、いみじくもB型の短所として「ひとりよがり、興味本位、独走」などと掲げておられるところは、さすがと感心させられます。彼の問題提起は科学の第一歩として、十分尊重されるべきものです。そして彼の本心は「誰か自分のあとを継いで、自分の足りないところを補ってくれないかな」だと思います。

Q

血液型人間学と、新しい血液型心理学の関係はどうなりますか?

A

血液型心理学は血液型人間学と、血液型と性格との関係に注目するところは同じですが、アプローチがまったく異なります。血液型心理学の根幹となる「対人関係において、血液型と心理的な距離感には相関がある。その傾向は知性が未成熟な幼児期において、より顕著である」という仮説から導かれる、さまざまな推論の結果が、血液型人間学の結果と一致するなら、それはひとつの科学的な証明と考えて差し支えないでしょう。事実、能見さんの研究の中には心理的な距離感の違いに触れている箇所もありますから、血液型人間学と血液型心理学のコラボレーションは、さほど困難ではないと考えます。

血液型心理学の真のねらいは、心理的な距離感の違いが人間関係に及ぼす影響を明らかにして、能見正比古さんが火を点けた形となっている、血液型性格分類をめぐる不毛の科学論争に、終止符を打つところにあります。



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